2009年01月14日
李 欧
私のブログ・ネーム「李欧」は、「高村薫」さんのハードボイルド小説「李欧」から勝手に貰ったものです。
今から10年前に書かれた「李欧」の主人公は「吉田一彰」。母は中国人と駆け落ちしてしまっていない。
舞台は大阪・西淀川区の潰れかけの工場。そして、工場の庭にある1本の大きな桜の木、満開の桜の花が最後まで物語の縦の重要な背景になっています。そして横軸は「吉田一彰」と「李欧」の二人。
「惚れたって言えよーー。美貌の殺し屋は言った。その名は李欧。平凡なアルバイト学生だった吉田一彰は、その日、運命に出会った。ともに22歳。しかし、2人が見た大陸の夢は遠く厳しく、15年の月日が2つの魂をひきさいた。(本の背表紙から)
男同士の奇妙な友情と出会いが横軸になってるとは言え、朧な月夜に浮かび上がる夜桜の妖しさ・潔さが全編に溢れています。そう言えば、高村薫の作品には割り切れないもやもやとした男の人間関係を描いたものが多いような気がします。
WOWOW10周年記念でTV映画化されましたが、主人公の2人はあきらかにミスキャスト。私ならトップ画像の「金城武」を李欧に起用するけどなあ。李欧はしなやかで冷酷で、軽々として力強く、それでいて春の陽光のような暖かさを持つ殺し屋。北京語と日本語を完璧に操る想定になっているから。
韓国人・中国人・ヨーロッパ人神父、日本の中のアジアである大阪に見事に溶け込んだ一冊です。また、警察や公安、スパイやヤクザ、国際的な陰謀まで盛り込まれてスリルとサスペンス性を高める構成になっていて面白い。
ラストは特に感動ものです。
そして、もう1人の主人公「吉田一彰」には、やはり台湾のチャン・チェンを起用、多少ストーリーを変えてでも大阪の下町を舞台にした中国映画として映像化したほうがヒット間違いなし。原作者も許してくれるでしょう。
「映画」として見て見たい小説は特にハードボイルドには多い。それは日本が銃社会ではないからかもしれない。
Posted by 李欧 at 15:41│Comments(0)
│CHINA
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