2008年11月20日

まいった、見事な作品。

Angels  in  America

「トニー賞」「エミー賞」ピューリッツァ賞」「ゴールデングローブ賞」を総なめにした傑作TVドラマを偶然見ました。

TV初出演のアル・パチーノ。アカデミー女優のメリル・ストリープと英国のエマ・トンプソンと言う一流の俳優を集め、監督は「卒業」のマイク・ニコルズ。舞台ではトニー賞を受賞、戯曲ではピューリッツァー賞を受賞。


「エンジェルズ・イン・アメリカ」は、2007年1月、全6話がHBOからTV放映になりました。


1980年代のNYが舞台で「共和党」「タカ派レーガン政権」「赤狩り」「エイズ」「同性愛」「黒人・ユダヤ差別」などを盛り込みながら、新たなミレニアムの「世界は変わる!」を希望として描いた原作・トニー・クシュナーのTV版。台詞と映像の構成・演出が見事!です。


物語は、一組の同性愛カップルと一組の夫婦を軸に交錯しながら展開します。
実際在った「ローゼンバーグ スパイ事件」。無実と思われる死刑囚の亡霊エセル・ローゼンバーグと主人公の母の役でメリル・ストリープ。
赤狩りと反ユダヤ主義で死刑になったエセルが検事ロイ・コーン(アル・パチーノ)の枕元に現れ、最後まで「冷ややかな呪い」をかけます。


エセルを死刑に追いやった検事の役で自らもエイズで死ぬ諸悪の根源役でアル・パチーノ。
ダーティーな実力者を、ここまで演じるか、と言うほど熱演してます。


主治医と天使の役でエマ・トンプソン。


この作品の特徴は3人の名優がちょい役であれ1人何役でも登場してるところにもあります。
浮浪者の役のエマ・トンプソン。


4人の若手の主人公役には舞台で活躍している無名(日本では)の俳優が実に生き生きと役柄を演じています。
特に黒人看護師役のジェフリー・ライトは「はまり役」。


「現実と幻想」「天使と死者」「過去と現在」「希望と絶望」。アメリカが抱える問題を背景に、ゲイの幻想と言う過激なユーモアを皮肉たっぷりに描いて見ごたえのある作品にして、しかもそれが高く評価されてるところが、やっぱりアメリカです。


根本にはキリスト教と言う素地があるとは言え、痛烈な保守的な思考の批判、空白の時代に不安を抱える現代人のとまどい、愛の普遍性など、皮肉たっぷりに「大人の真面目な」世界が描かれています。


「エンジェルズ・イン・アメリカ」 全3枚DVD ツタヤにあります。

日本でも舞台化されたそうですが、どのような演出だったのでしょう。
時には難解とも取れる台詞があるので、どのように処理されたか興味があります。


TV放映されてから2年、今年「民主党」のオバマ大統領が誕生しました。この時期だからこそ30年近く前の時代を描いた「エンジェルズ・イン・アメリカ」は見る者にあれこれ感慨を突きつけます。

*エセル・ローゼンバーグ事件 http://www.weblio.jp/content/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B0%E4%BA%8B%E4%BB%B6




  


Posted by 李欧 at 22:09Comments(0)日々の雑感
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